ー 埼玉と群馬、両県の県境を流れる神流川両岸の地域を含めて活動されていますが、拠点とされている本庄市に絞ってお話を伺えればと思います。どのような特徴がある街ですか?
(小林)歴史的に見ると、江戸時代には中山道の宿場町の中では最も栄えたまち、として知られているかなと思います。電車の路線、道路とも充実していて、北部に位置してはいますが、例えば本庄早稲田駅から東京駅までは50分で行けるなど、交通の利便性は高いと思います。自然災害も少なく、自然環境にも恵まれた住みやすい場所で、人口も8万人を超えています。ー 高齢化も、ほとんどの地域が抱えている課題ですね。
(小林)そうですね。本庄では、行政と早稲田大学が協力して、「市民ひとり1スポーツ」という理念の元に、幅広い層の市民がスポーツに取り組めるような環境づくりに取り組むなど、高齢化に対するアプローチを行っています。ー 高齢化に限らず、クラブとして抱える課題、それに対して行っている取り組みを教えてください。
(小林)合併をして、より広い街にはなりましたが、なぜか場所がありません(笑)。例えば、サッカーではフルピッチのグラウンドがありませんし、フットサルをしようにも、市内の体育館は学校も含めすべてフットサルが禁止されています。陸上競技場もありませんので、規模の大きなイベントや大会をおこなうときは、市外の施設を使わざるを得ない…。ー それは意外です。
(小林)私たちが大規模な会場を作ることはできませんので、市のワークショップや意見交換の場には積極的に参加してますし、大会やイベントには市や県の議員を招いて、実際の活動を見てもらった上で環境の向上を提案するなどしています。ー 場所がない、という例で真っ先にサッカーが挙がりました。
(小林)私たちのクラブの、はじめの一歩はサッカー教室でした。ー なるほど。
(小林)クラブの最大のイベントもサッカー大会(K.S.A. SUPER CUP)です。参加チームも徐々に増え、今年は1都6県から75チームがエントリー、来場者も2,000名を超えました。関わってくださる人の数も増えたこともあり、さらに何かできないか、ということで、オリジナルタオルを販売し、利益をすべて寄付するチャリティーもはじめました。ー クラブを運営するうえで、大切にされていることは何ですか?
(小林)孔子の言葉で「其恕可(それじょかな)」という短い一言があります。「恕(じょ)」とは、思いやり、という意味で、この精神をいつも大切にしていますし、これからも変わらずに大切にしていきたいです。ー 満足度の高いクラブであるために必要なことは何だとお考えですか?
(小林)環境を整えたり、やれることを増やすためには、資金はどうしても必要で、このことは課題のひとつでもあります。